MEDICAL1日おならは何回が平均?
おならは、腸内に溜まったガスを排出する自然な体の働きです。約7割は食事や会話から体の中に入ってきた空気で、3割は食べ物が腸内で分解される際に発生するガスです。
おならの回数は個人によって異なりますが、1日のおならの回数は、平均で10回前後とされており、これを超えておならが頻繁に出る状態のことを「おならがよく出る」と言います。
おならがよく出る場合は、偏った食生活やストレス、睡眠不足、過敏性腸症候群などの胃腸の疾患が原因となっていることがあるため、日常生活に支障がある場合には、消化器内科を受診しましょう。
MEDICALおならは出したほうがいい?
おならは腸に溜まったガスを排出する行為であるため、基本的には我慢しない方が良いです。
おならを我慢すると、腸内のガスが増え、腹痛の原因になるほか、ガスが腸内に充満することで腸管が伸び、腸の機能が悪化して便秘になりやすくなります。
腸管のガスの量を減らすためには、腸内環境の改善と、規則正しい排便習慣を身に着けることが重要です。
腸内環境の改善には、ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品、オリゴ糖などを摂取して腸内のビフィズス菌や乳酸菌を増やし、腸内のpHを上げることが有効です。
MEDICALおならが増える・臭くなる
原因
食物繊維と腸内ガス
イモ類や豆類などの食物繊維を多く含む食品は、小腸で分解できず、大腸で分解され発酵するため、水素やメタンなどの腸内ガスが生成されます。
しかし、これらのガスは無臭であるため、食物繊維を多く摂ることでおなら自体は増えますが、食物繊維は腸の動きを活発にして、スムーズな排便を促すため、あまり気にする必要はありません。
むしろ腸内環境を整えるためには、食物繊維の摂取は不可欠です。食物繊維が豊富な食材の摂取量を少しずつ増やしていくと良いかもしれません。
肉類やにんにくの食べ過ぎと臭いおなら
肉類やネギ類、にんにくは、大量に摂取すると、小腸で分解しきれず、分解しきれなかった分が大腸で分解される際に、ウェルシュ菌などの悪玉菌が働き、腐敗するため、アンモニアや硫化水素、二酸化硫黄、スカトールなどが発生し、おならが臭くなります。
便秘で溜まる腸内ガス
便秘によって腸内にガスが溜まると、さらに発酵が進み、おならが臭くなります。また、腸内に溜まったガスを排出するためにおならの回数も増えます。また、便秘で腸内に溜まったガスが腸管から吸収され血管内を通じて肺で放出されると、息がおなら臭くなることもあります。
ストレスで腸内ガスが増加
精神的なストレスや緊張などで息を飲み込むことが増えると(呑気症)、お腹に溜まるガスの量が増えるため、おならの量が増えます。
おならを増やす原因となる
疾患
慢性胃炎や、過敏性腸症候群になると、腸にガスが溜まりやすくなり、おならが増えます。また、大腸がんが進行すると便秘になりやすくなり、おならが増えることがあります。
呑気症(どんきしょう)
呑気症になると、空気を多く飲み込んでしまい、空気の大半は窒素であるため、体内で吸収されることはなく、げっぷやおならとして排出されます。
一気飲みや早食い、口呼吸の人や、神経質な人、不安感が強くストレスを感じやすい人も、知らず知らずのうちに空気を多く飲み込む傾向があるとされています。
慢性胃炎
慢性胃炎になると、胃痛や吐き気、胸やけ、げっぷなどの症状とともに、腹部膨満感が起こり、おならも増えます。
慢性胃炎の約8割はピロリ菌がかかわっているとされており、胃粘膜に慢性的な炎症が繰り返されることで、放置すると胃潰瘍に進行することがあります。
過敏性腸症候群
慢性的な腹痛や下痢、便秘などの便通異常をきたしているのに、検査で特別な異常が見つからない疾患です。
不安や緊張による心理的ストレス、気候変化による環境的ストレス、過労による身体的ストレスなどが原因とされています。過敏性腸症候群になると、下痢や便秘などの便通異常とともに、おならが増えます。おならを我慢することで臭いがいつの間にか漏れ出してしまい、人前に出られない人もいるようです。
大腸がん
大腸がんは、初期では自覚症状がありませんが、進行すると、血便や下血、便が細くなる、便秘や下痢を繰り返す、お腹が張るなどの症状が起こり、腸が狭窄すると、頑固な便秘になり、弱い音のおならが頻繁に出るようになります。
MEDICALおならの回数・臭いを改善するためにできること
食事のスピード
早食いの場合は、噛む回数が少なく、余分な空気を取り込み、おならが増えることがあります。
また、噛む回数が少ないと、食べ物が腸に残りやすくなり、腐敗が起こり、その結果おならが臭くなりやすくなります。食事の際は、食べ物をゆっくり噛むことが重要です。
食べ物
おならは、腸内の悪玉菌が原因となってくさくなるため、ヨーグルトなどで乳酸菌を積極的に摂取し、バランスの良い食事を心がけましょう。
また、ヨーグルトは様々な菌が含まれており、人によって合う菌が異なるほか、腸内細菌の構成はヒトによって異なるため、自分に合ったヨーグルトを見つけることが重要です。
試しに2週間程度、特定のヨーグルトを摂取し、便秘が改善されるかを観察してみると良いでしょう。
他にもオリゴ糖や乳酸飲料も便秘予防に効果的です。オリゴ糖は主にきな粉、インゲン豆、納豆、バナナ、はちみつなどに多く含まれます。
食物繊維
食物繊維は腸内環境を改善し、便秘や軟便などを解消することが期待されます。
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、水溶性食物繊維は善玉菌のエサになり、善玉菌を増加させ、不溶性食物繊維は便の体積を増やして、腸を刺激し、便を排出しやすくします。
水溶性食物繊維が豊富な食材は、トマト、ごぼう、小麦、押し麦、イモ類、豆類、果物などがあり、不溶性食物繊維が豊富な食材は、そば、ライ麦、切り干し大根があります。
しかし、不溶性食物繊維は摂取しすぎると便秘が悪化する場合もあるため、注意が必要です。
便秘
便秘になると、食べ物が腸内に長くとどまるため、発酵してガスが生じるため、おならが出やすくなります。
便秘が長く続く場合は、腸内環境を整えるために適切な対策を取ることが重要です。
監修医師 安江 千尋
院長資格
- 専門医
-
- 日本内科学会総合内科専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 指導医
-
- 日本消化器内視鏡学会指導医
- 日本消化器病学会指導医
所属学会
- 日本内科学会
- 日本消化器病学会
- 日本消化器内視鏡学会
- 日本大腸肛門病学会
- 日本消化管学会