便秘

Medical 便秘

MEDICAL便意はどうやって起こる?

便意は、直腸に便が溜まり大脳にシグナルが送られることで感じます。便意を感じるまでの流れは以下の通りです。

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胃・大腸の反射

胃に食べ物が入ると、その刺激によって大腸の蠕動運動が起こり、直腸へ便が送られます。

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排便反射

直腸に便が送られると、刺激が仙髄の排便中枢に伝わり、便を送り出す働きが強くなります。

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大脳への伝達

大腸が便を出す準備を開始する一方で、そのシグナルは仙髄を経て脳にシグナルが伝わり、便意を感じます。

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大脳からのサイン

便意を感じると、その時の状況に応じて、脳が便を我慢するのか、便を出すのかの指令を出します。排便の指令が出ると、腹筋が収縮し、腹圧が加わり、肛門括約筋が緩んで便が排出されます。
大脳は、便を出して良いタイミングなのかどうかを判断して腸の動きをコントロールしています。排便は「腸と脳との連係プレー」、ここがかみ合わない状態が続くと便秘になってしまいます。

MEDICAL毎日排便がない≠便秘

便秘は、排便が毎日ない状態のことではなく、排便が週に3回未満の「排便回数の減少」と、便が硬くて出にくいといった「排便困難症状」を表します。
排便困難症状は、排便時のいきみや残便感、頻回便、肛門の閉塞感の4つの症状を指します。食事をして排便されるまでの時間には個人差や体調で大きく変わりますが、平均すると24時間程度が目安です。排便頻度が2~3日に1回でもスムーズに排便ができて、腹部膨満感や残便感などがなく快適であれば便秘とは言いません。
逆に毎日排便があっても、強くいきんで少量しか出ず、残便感や排便に対する苦痛がある場合は便秘とされます。硬すぎる便は、便秘の原因になるだけでなく、痔の原因にもなるため、便意を我慢しすぎるのもよくありません。
便意を我慢しすぎると、水分が過度にぬけて便が硬くなるだけでなく、直腸が鈍感になって便意を感じづらくなったり、悪玉菌が増えて腸内環境が乱れることでさらに便秘が進んでしまいます。
硬い便を改善するために、食事内容や生活習慣を改善したり、トイレの時間帯をきちんと決めましょう。

MEDICAL便意があるのにトイレに行っても出ない便秘の原因

便意があるのにトイレに座ってもなかなか便が出ない場合は、便が硬い場合や、便を押し出す筋力が低下している場合などが考えられます。
便秘は運動不足や食物繊維不足などで起こりやすい症状ですが、中には大腸がんや潰瘍性大腸炎などの治療が必要な消化器疾患や薬の副作用が原因で起こる場合もあります。便に血が混じったり、強い腹痛がある場合は、病院に相談しましょう。

便が硬い

便が硬い場合は、便が肛門付近で詰まって出にくくなります。
この場合の便秘は、便を肛門の方へ運ぶ蠕動運動に問題がないため、肛門まで便が来たタイミングで便意を感じますが、便が肛門付近で詰まって排便が難しい状態です。
便が大腸内に長時間溜まると、過剰に水分が吸収され、硬くなってしまいます。

腹筋力の低下

腹筋の筋力が低下すると、いきむ力が弱くなり、便意を感じてもなかなか排便されないことがあります。

便の水分不足

便の水分が減ると、便が硬くなり排便が困難になる場合があります。
便の6~8割は水分で構成されているため、水分摂取量が少ないと便が硬くなりやすいです。普段からコロコロとした便が出る場合は、水分不足が原因となっている可能性が高いです。

便意の我慢

便意を繰り返し我慢していると、便意を感じにくくなってしまうことがあります。
通常、大腸から押し出された便が直腸に到達すると、そのシグナルが脳に伝えられて便意を感じます(排便反射)。繰り返し便意を我慢していると、直腸が便で広げられた状態に慣れてしまうため、排便反射が抑制される状態になります。
さらには我慢している間に、水分が過度にぬけて便が硬くなったり、悪玉菌が増えて腸内環境が乱れることで別の病気や不調が現れることもあります。

MEDICAL便秘の検査

便秘が続く場合は、まず問診でいつ頃から、どのような症状で便秘が起こっているかなど、排便状況についてだけではなく、便秘以外の症状の有無、既往歴、服用している薬剤など、便秘に影響のありそうな事柄について詳細にお伺いします。
便秘の検査では、腹部レントゲン検査や大腸カメラ検査、血液検査、腹部超音波検査などの検査を行い、原因を特定します。大腸カメラ検査は、肛門からスコープを挿入して、直腸から盲腸までの全大腸の粘膜の状態をリアルタイムに観察できる検査です。
ポリープが見つかればその場で切除することができ、疑わしい病変は組織の一部を採取して病理検査を行い確定診断を行うこともできます。当院では、内視鏡専門医・指導医の資格を持つ臨床経験の豊富な医師が、最新で最上位の内視鏡システムを駆使して、丁寧でありながら迅速かつ正確な検査で、患者様の負担を可能な限り軽減した検査を行っております。
安心してご相談ください。便秘の原因が疾患ではない場合は、食事や運動、ストレスの状態、市販薬の使用有無を確認して、患者様に合わせた治療を行います。

MEDICAL便秘でも便が出やすくなる
姿勢

洋式トイレに少し前かがみで座り、踏み台などに足を乗せて膝を高くする姿勢を取ると、便が出やすくなります。
太ももの角度は35度くらいが良いです。便意を感じても、便がなかなか出ない場合は、この姿勢をとってみましょう。

MEDICAL工夫しても解消されない便秘への対処法

トイレの姿勢を工夫しても、便秘が解消されない場合もあります。根本的に便秘を改善するためには、食生活や運動習慣の改善、水分摂取量の改善などが重要です。

食物繊維を積極的に摂る

便秘を改善するためには、食物繊維を積極的に摂ることが重要です。
食物繊維には、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維の2種類があります。水溶性食物繊維は便を柔らかくする効果があり、不溶性食物繊維は腸の動きを活発にし、便のカサを増やす効果があります。水溶性食物繊維はわかめやひじき、寒天などの海藻類に多く含まれ、不溶性食物繊維はキノコやイモ類に多く含まれています。
両方の食物繊維をバランスよく摂取することで、効果的に便秘を解消することができます。

腹筋を鍛える

腹筋を鍛えると、排便を促す蠕動運動が活発になるため、便秘の解消につながります。
腹筋は、上体起こしの運動や、足を肩幅に開いて、腕と肩の力を抜き、ゆっくり左右に腰をひねる腰ひねり運動がお勧めです。
便秘解消を目指すには、これらの運動を毎日続けることが重要です。

1日2リットル程度の水分を摂る

便秘解消のためには、1日2リットル程度の水分摂取を行うことが有効です。水分を十分に摂ると便の水分量が増え、便が柔らかくなるため、排便されやすくなります。
水分摂取は、こまめに行い、利尿作用のあるお茶やコーヒーは避けましょう。

朝食後にトイレへ行く

朝食後は、便意が起こりやすいとされているため、朝食後は便意がなくてもトイレへ行くようにしましょう。
朝食は毎日同じ時間に摂り、排便のリズムを整えるようにしましょう。
規則正しい生活は、排便のリズムも整えます。なるべく食事の時間帯を一定にし、就寝や起床時間も決めるようにしましょう。

便秘薬を試す

すぐに便秘を解消する必要がある方や、なかなか便秘が解消されない方は、まずは酸化マグネシウムを主成分とした便秘薬を試す方法があります。
酸化マグネシウムは便に作用して、水を集めて柔らかくし、クセになりにくく、お腹が痛くなりにくい特徴があります。酸化マグネシウムは高齢者や妊婦の方でも使えますが、腎臓の機能が悪い方は高マグネシウム血症を引き起こすリスクがあるため使えません。
ここ最近では酸化マグネシウム製剤以外にも新しい作用をもった薬がたくさん登場しているため、選択肢が多く、漢方薬などの併用も可能です。
当院では、便秘のタイプ、お悩みの症状、ライフスタイルなどに合わせて、患者様お一人お一人に最適な処方を計画して、ご提案しますのでお気軽にご相談ください。

以下に本邦における便秘薬の一覧についてご紹介します。

下剤の種類 作用 特徴
刺激性下剤
・センノシド
・ピコスルファートナトリウム
大腸の蠕動(ぜんどう)運動を刺激することによって排便を促し、溜まった便をリセットする。 内服から6〜12時間程度で作用し、迅速な効果を認める一方、薬剤耐性や依存性があり、長期連用には向かない。腹痛・下痢などの副作用のリスクがある。
浸透圧性下剤
・酸化マグネシウム
・ポリエチレングリコール
・ラクツロース
腸管内の浸透圧を高めて、腸内に水を引きこみ水分量を増やすことで便を柔らかくする。これにより、便がスムーズに移動し、排便が促される。 便の硬さに応じて、内服量を調整することができる。比較的速効性があり、服用後数時間から12時間以内に効果が現れる。副作用が少なく、長期使用による依存性も少ない。マグネシウム製剤は腎機能が低下した患者様には使用できない。
上皮機能変容薬
・ルビプロストン
・リナクロチド
腸粘膜上皮に作用して腸管内の水分分泌を増加させ、腸管内の便輸送を高めて排便を促す。 併用禁忌薬がなく、使いやすさもある反面、吐き気や下痢などの副作用が出る場合がある。習慣性が少なく、服用数時間後~1日以内に症状が改善することが多い。比較的新しい便秘薬で薬価がやや高い。
膨張性下剤
・カルボキシメチルセルロース
腸内で水分を吸収して膨らみ、便のかさを増やし腸を刺激することで排便を促す。 食物繊維と似た作用による、自然な排便の促進効果がある。即効性はないが、習慣性が少なく安全性が高い。
漢方薬
・大黄甘草湯
・麻子仁丸
・大建中湯
大建中湯や大黄は腸の蠕動運動を促進し、便の通過をスムーズにする。麻子仁は腸内で水分を保持し、便を柔らかくすることで便秘の解消をサポートする。 大黄甘草湯は即効性があり、頑固な便秘に対しても有効である一方、薬剤耐性があるため長期使用に向かない。麻子仁丸は副作用が少なく、長期使用にも適している一方、下剤効果は穏やかであり、使用量の調整が必要。大建中湯は使用頻度が高く、自然な排便促進が期待できるが、効果には個人差がある。

監修医師 安江 千尋

安江 千尋

院長資格

専門医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
指導医
  • 日本消化器内視鏡学会指導医
  • 日本消化器病学会指導医

所属学会

  • 日本内科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本大腸肛門病学会
  • 日本消化管学会
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