アニサキス

Medical アニサキス

MEDICALアニサキス緊急外来

お刺身(サバ、サンマ、アジ、イワシ、サケ、カツオ、イカなど)などの新鮮な魚介類 にはアニサキスと呼ばれる寄生虫が隠れていることがあり、魚介類を食べた当日・翌日の急激な腹痛・嘔吐に対して「アニサキス緊急外来」を行っています。
「胃アニサキス症」は、アニサキスに寄生された魚を食べてから早ければ数時間以内、遅くとも24時間以内に発症します。症状の程度には個人差がありますが、アニサキスが胃・腸の壁にくいつくと、激しい上腹部痛・嘔吐をきたすことがあります。胃カメラによってアニサキスを胃壁から摘出することで、比較的速やかに症状は改善しますので、上記のように刺身(サバ、サンマ、アジ、イワシ、サケ、カツオ、イカなど)、寿司、しめサバなど、新鮮な魚介類を食べた当日または翌日に突然腹痛・嘔吐が生じた方はすぐにご相談ください。
当院は、普段は完全予約制のため、予約のある患者様を優先していますが、アニサキスを強く疑う、刺身・しめさば食後の腹痛の方は、 予約の有無に限らず、なるべく当日中に診察し、即日胃カメラ検査を行っています。胃カメラ検査では、胃壁に嚙みついているアニサキス虫体を、鉗子と呼ばれる特殊な器具を用いて摘出します。必要に応じて処置後に内服を処方して、さらなる症状の改善を促します。

注意事項

  • 緊急外来は予約の外来や検査と並行して行います。円滑な診療のために調整が必要な場合がありますので、
    事前にお電話で「アニサキス緊急外来」受診希望の旨をお伝えください。
  • 混雑状況や緊急度によっては、長くお待たせする場合がありますことをご了承ください。
  • 保険証を必ずご持参ください。
  • 当日緊急内視鏡が必要なケースがありますので、なるべく絶食でのご来院をお願いいたします。

MEDICALアニサキスとは

アニサキスとは、寄生虫の1種で、約15mmの白い糸状の形状をしています。成虫はイルカやクジラなどに寄生し、幼生は身近な魚介類に寄生します。
アニサキスは、オキアミというプランクトンを食す魚介類を介してヒトに感染します。アニサキスに感染すると、軽い腹痛から激痛、腸閉塞に至ったりと、様々な症状を起こします。アニサキスはヒトに寄生することはできず、ヒトの体内に入ると約1週間で死んでしまうため、全く症状が出ない場合もありますが、生きている間は激しい痛みなどを起こします。
アニサキスに感染した場合の治療は、内視鏡によって直接除去を行いますが、除去が難しい場合は、薬で症状を抑えることで対処します。除去した場合は、除去後すぐに症状が治まります。アニサキスは胃粘膜に食い込みますが、痛みなどを起こすのはアニサキスに対するアレルギー反応で胃粘膜が大きく腫れ、炎症を起こすからだと考えられています。アニサキスは「60℃以上で1分以上加熱する」か、「マイナス20℃以下で24時間以上冷凍する」ことで死滅します。
魚介類を食べて数時間から半日後に、上腹部痛や下腹部痛、吐き気、嘔吐、発熱などの症状が現れた場合は、アニサキス症の疑いがあるため、できるだけ早く病院を受診してください。当院では、即日胃カメラ検査にも対応しておりますので、気軽にご相談ください。

MEDICALアニサキスの症状

胃アニサキス症

胃アニサキス症とは、魚介類を食べることでアニサキスが口から体内に入り、アニサキスが胃の壁に突き刺さり発症するアレルギー症状です。
日本における消化管アニサキス症の報告の9割以上は胃への感染です。
経口感染後3~4時間で発症し、上腹部痛や吐き気、嘔吐などの症状が起こります。治療では、内視鏡を用いてアニサキスの除去を行います。アニサキスを除去するとすぐに症状が消失します。アニサキス症は、胃内にアニサキスがあっても必ずしも起こるわけではなく、症状が出ない方もいます。

腸アニサキス症

腸アニサキス症は、魚介類を食べることで口から体内へ入ったアニサキスが、腸に食いつくことで発症します。経口感染後、数十時間から数日で発症し、強い下腹部痛や吐き気、嘔吐、発熱などの症状が起こります。稀に腸閉塞や腸穿孔に至ることもあり、その場合は入院での治療が必要になります。

消化器外アニサキス症

消化器外アニサキス症とは、経口感染したアニサキスが消化管を突き破り、腹腔へと飛び出して周辺部位に寄生するアニサキス症です。消化管を突き破ったアニサキスは大網、腸間膜、腹壁皮下などに移動し、肉芽腫をつくることもあります。
アニサキスが寄生した部位に応じて症状が起こります。消化器外アニサキス症は、胃アニサキス症や腸アニサキス症と比べると、非常にまれです。

アニサキスアレルギー

アニサキスアレルギーとは、アニサキスのタンパク質に対して生じるアレルギーのことです。
アニサキス症が、生きたアニサキス虫体を汚染された食品と共に食べてしまった場合に引き起こされる食中毒であるのに対し、アニサキスアレルギーはアニサキスのタンパク質や分泌物に反応しますので、虫体の生死、加熱などの熱処理にかかわらず、アレルギー反応が起こる可能性があります。経口感染後、蕁麻疹や血圧の降下、呼吸不全、意識消失などの症状が起こります。

アニサキスとアナフィラキシー

アニサキスアレルギーからアナフィラキシーを起こすことがあります。アナフィラキシーとは「ごく短い時間に全身にあらわれるアレルギー症状」のことで、アレルゲンに暴露することで引き起こされ、複数の臓器(皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器など)で重篤な症状や全身症状があらわれます。このアナフィラキシーによって、血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態になることがあり、この最重症の状態をアナフィラキシーショックと言います。
アナフィラキシーの症状はさまざまで、蕁麻疹などの「皮膚症状」やくしゃみ、咳、息苦しさなどの「呼吸器症状」、目のかゆみやむくみ、唇の腫れなどの「粘膜症状」、腹痛や嘔吐などの「消化器症状」、血圧低下などの「循環器症状」などがあります。これらの症状が複数の臓器にわたり全身に急速にあらわれるのが、アナフィラキシーの特徴です。
アナフィラキシーを起こす原因で、食物、薬物に次いで3番目に多いのがアニサキスです。また、青魚アレルギーだと思い込んでいたアレルギーが実はアニサキスアレルギーであったということもよくあります。

MEDICALアニサキスが発見
されやすい魚

アニサキスはすべての魚に寄生する可能性がありますが、中でも以下の魚から多く発見される傾向があります。

食道・胃の症状

  • サバ
  • イカ
  • ホタルイカ
  • サンマ
  • サケ
  • イワシ
  • タラ
  • ホッケ
  • ニシン
  • マス
  • カツオ

MEDICALアニサキスの検査

アニサキスの検査では、問診を行い、生の魚を食べた後の突然の腹痛など、アニサキスが胃内にいると疑われる場合は、胃カメラ検査を行います。胃カメラでは、先端にカメラが付いた内視鏡スコープを鼻や口から挿入することで、食道・胃・十二指腸をリアルタイムで確認することができます。
アニサキスは肉眼で確認できるため、胃カメラで観察すると胃に刺さったアニサキスを直接発見できます。
また、胃を超えて小腸にアニサキスがいると思われる場合には、エコー検査やX線検査、血液検査、CT検査などを行いますが、胃よりも奥にアニサキスがいることを証明するのはかなり困難です。血液検査によっても、アニサキスの寄生を調べることができます。

MEDICAL-5アニサキスの治療

胃カメラ検査を行い、アニサキスを発見した場合はその場で摘出することができます。アニサキスを摘出すると、症状はすぐに治まります。腸アニサキス症など、内視鏡でアニサキスを摘出することが難しい場合は、症状を抑える薬を処方し、アニサキスが自然に死滅するのを待ちます。現在のところ、アニサキスを効果的に駆除する駆虫薬は存在しません。

MEDICALアニサキスへの予防

魚介類の生食は、アニサキス症になるリスクが高いため、60℃以上で1分以上の加熱かマイナス20℃以下で24時間以上の冷凍によってアニサキスを死滅させてから食べることが有効です。また、アニサキスは15mm程度の大きさがあるため、調理するときや食べるときに目視で注意を払うことが重要です。
魚の内臓に寄生していたアニサキスは、魚が死ぬと、内臓から身の部分へと移動する習性があるため、刺身などで魚を食べる場合には、魚が新鮮なうちに内臓ごとアニサキスを除去することで、アニサキス症のリスクを減らすことができます。
なお、アニサキスアレルギーがある場合には、完全に除去しても、十分に加熱冷凍していても、アレルギー反応を起こすことがあります。寄生の可能性がある魚介類を食べるのは避けましょう。

MEDICALアニサキスQ&A

アニサキスは何日で死ぬ?

アニサキスはヒトの体内では長くても4日程度しか生きることができません。しかし、死滅してもしばらく症状が続くことがあります。
また、アニサキスは放置しておくと、小腸の粘膜に食いついて孔を空けたり、炎症が重症化することもあるため、腹痛が激しいときなどは早めに対処することが重要です。

よく噛むことでアニサキスは死ぬ?

アニサキスは、物理攻撃に弱く、体に傷がつくとすぐに死ぬため、よく噛んで食べることはアニサキス症の予防に有効です。
ただしよく噛んでもアニサキス症にかからないというわけではありません。アニサキス自体に毒素はありませんが、アニサキスアレルギーを持っている場合は注意が必要です。

監修医師 安江 千尋

安江 千尋

院長資格

専門医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
指導医
  • 日本消化器内視鏡学会指導医
  • 日本消化器病学会指導医

所属学会

  • 日本内科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本大腸肛門病学会
  • 日本消化管学会
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