MEDICAL慢性胃炎とは
慢性胃炎とは、胃の粘膜が長期間にわたって炎症を起こしている状態で、胃酸を分泌する腺細胞が長期間にわたって萎縮し、修復されずに進行します。
慢性胃炎の状態では、胃酸の分泌が減少しています。慢性胃炎は、臨床的には、出血やびらんのある胃炎、びらんのない胃炎、萎縮性胃炎、自己免疫性胃炎(A型胃炎)などがありますが、一般的に慢性胃炎と言われる場合は、萎縮性胃炎を指します。萎縮性胃炎はピロリ菌感染が原因となって生じると考えられています。
また、免疫異常によって自分の免疫細胞が胃の特定の細胞を攻撃し、慢性的な炎症を起こす、自己免疫性胃炎の診断も近年増加傾向にあり、神経内分泌腫瘍や悪性貧血の原因となるため注意が必要です。
MEDICAL慢性胃炎の原因
慢性胃炎の原因は、ほとんどの場合でピロリ菌感染であるとされています。
ピロリ菌感染による慢性胃炎は、胃の出口付近である「前庭部」から胃の中心部である「胃体部」に広がる萎縮性胃炎です。一方、自己免疫性胃炎(A型胃炎)は、「胃体部」に萎縮があるが、「前庭部」には萎縮が起こらないという特徴があります。自己免疫性胃炎は、免疫異常によって自分の免疫細胞が胃の特定の細胞を攻撃し、慢性的な炎症を起こす状態で、自己免疫性胃炎を発症している場合は、多くの場合で、血液中に自己抗体である抗胃壁細胞抗体や抗内因子抗体などが存在し、ビタミンB12の吸収障害による悪性貧血や神経内分泌腫瘍を合併する可能性があります。
また、非ステロイド性抗炎症薬を原因とする薬剤性胃炎や、肝硬変や腎不全などの重篤な疾患に関連して起こる慢性胃炎もあります。
MEDICAL慢性胃炎の症状
MEDICAL慢性胃炎の治療
ピロリ菌による慢性胃炎(B型胃炎)
ピロリ菌による慢性胃炎の治療では、ピロリ菌の除菌治療を行います。
除菌治療では、1種類の胃酸の分泌を抑える薬と、2種類の抗生物質を同時に7日間服用します。1回目のピロリ菌の除菌療法の成功率は、80%前後とされています。ピロリ菌が除菌できなかった場合は、2種類の抗菌薬のうちの1種類を初回と別の薬に変えて、再び除菌療法を行います(二次除菌療法)。
ほとんどの場合、二次除菌療法までで除菌が成功します(除菌成功率:約90%)。ピロリ菌は胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの原因となるため、ピロリ菌に感染している場合は、ピロリ菌の除菌治療を行うのがお勧めです。
自己免疫性胃炎(A型胃炎)
自己免疫性胃炎は、特定の治療法はありませんが、合併する可能性のある胃腫瘍の早期発見のために、定期的な胃カメラ検査を行う必要があります。また、貧血などの症状が起こることもあるため、定期的な受診が必要です。
A型胃炎とB型胃炎の合併
A型胃炎とB型胃炎を合併している場合は、B型胃炎と同様にピロリ菌の除菌治療を行い、定期的な胃カメラ検査を行います。
監修医師 安江 千尋
院長資格
- 専門医
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- 日本内科学会総合内科専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 指導医
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- 日本消化器内視鏡学会指導医
- 日本消化器病学会指導医
所属学会
- 日本内科学会
- 日本消化器病学会
- 日本消化器内視鏡学会
- 日本大腸肛門病学会
- 日本消化管学会