MEDICAL大腸ポリープとは
大腸ポリープとは、大腸の粘膜の一部がイボのような形状に盛り上がってできた病変です。痛みなどの症状は基本的にはありません。大腸ポリープは性質の違いによりいくつかの種類に分けられ、大きく腫瘍性と非腫瘍性に分けられます。
基本的には良性の場合が多いですが、中には悪性のものや、将来的に悪性化するリスクがあるものもあります。大腸ポリープのうちの7~8割が腫瘍性であり、大腸がんに進展する可能性があることが知られており、特にサイズが大きいほどがん化するリスクが高くなります。
そのため、大腸カメラ検査で大腸ポリープが見つかった場合は、切除することが推奨されます。しかし、すべての大腸ポリープががん化するわけではありません。炎症性ポリープや過形成性ポリープ、過誤腫性ポリープなど、非腫瘍性ポリープはがんに進展する可能性が低いとされています。
MEDICAL大腸ポリープの大きさと
ガン化
大腸ポリープは一般的に大きいほど、がん化するリスクは高まります。良性のポリープは徐々に悪性度が増してがん化していくため、良性のポリープとがんははっきりとした境界線が引けるものではなく、良性か悪性かの判断は判定する病理医によって異なることがあり、報告により大腸ポリープのがん化率には相違が見られます。
ある報告では、大腸ポリープの大きさが径5mm未満の場合は約0.4%、5mm~10mmの場合は約3.4%、10~15mmの場合は約12%、15~20%の場合は約20.7%、20~25mmの場合は約26.6%、25~30mmの場合は約32.1%、30mm以上では約28.7%であったとされています。
以上のことから、大腸ポリープが大腸がんに進展することを防ぐためには、5mm以上の大腸ポリープは発見された時点で切除することが推奨されています。
要は腺腫性ポリープのうちに切除しておけば、大腸がんを予防できる可能性が高いというわけです。これは、adenoma-carcinoma sequence説といわれる、「大腸がんは腺腫を介して発がんする」という理論に基づいて考えられています。
一方、注意しなければならないのは、de novoがんと呼ばれる、「正常粘膜から直接発生するがん」の存在です。このがんは小さなうちから早期に浸潤を始め、悪性度が高いことが知られています。見た目も通常のキノコ状のポリープとは異なり、凹んだ形態(陥凹)として認識されることが多く、見つけづらい特徴があります。
当院では全て、多くの実績と豊富な技術をもった、日本消化器内視鏡学会が認定する内視鏡専門医・指導医が、最新の機器を使って質の高い検査・治療を行っておりますので、安心してご相談ください。
MEDICAL大腸ポリープの原因
食生活
大腸ポリープの発生は、食生活との関連があるとされていて、特に高カロリー食や肉食(主に赤身や加工肉)、高脂肪食、低繊維食は大腸ポリープの発生リスクと関係しています。一方、野菜や食物繊維を多く含む食品は、大腸ポリープの予防に効果があるとされています。
遺伝要因
大腸ポリープの発生は、遺伝要因が関連しているものもあるとされており、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などがあります。
血縁のご家族に大腸がんになった方がいる場合や、ご自身が子宮体がん・卵巣がんに罹ったことがある場合、「リンチ症候群」と呼ばれる、遺伝性大腸がんの発症リスクの高い疾患が隠れていることがあります。
上記に当てはまる方は遠慮なくご相談ください。リンチ症候群の方は若くして進行大腸がんとして発見されるケースが多く、20代や30代でも油断できません。家族や血縁者で大腸がんや大腸ポリープの診断を受けた方がいる場合は、一度大腸カメラ検査を受けることをお勧めします。
生活習慣
大腸ポリープの発生は、肥満や喫煙、過度の飲酒などの生活習慣がリスク因子となります。これらを改善するとともに、適度な運動を行うことは大腸ポリープの予防に有効とされています。また、年齢が50歳以上である方や糖尿病を患っている方、大腸がんの家族歴がある方は注意しましょう。
MEDICAL大腸ポリープの症状
大腸ポリープは初期症状がありません。ポリープが大きくなると以下のような症状が現れることがあります。
MEDICAL大腸ポリープを放置するとどうなる?
大腸ポリープを放置すると、大腸がんに進展するなど、様々なリスクがあります。ポリープの種類や大きさによっては、良性のまま特に問題を起こさない場合もありますが、多くのケースではポリープは成長し、がん化するリスクが高まります。ポリープや大腸がんが大きくなると、出血して血便や貧血の原因になることがあり、さらに大きくなって大腸の内腔を塞ぐと、腸閉塞を引き起こすことがあります。
大腸がんの発生リスク
大腸ポリープの一部は、大腸がんに進展することがあります。大腸がんの発生リスクは、年齢、家族歴、既往歴、生活習慣など多くの要因によって影響されます。例えば、大腸がんの発生リスクは、50歳以上で顕著に増加し、血縁のご家族に大腸がんの病歴がある場合、リスクが高まります。
また、過去にご自身が大腸がんや大腸ポリープの治療をしたことがある場合は、再発のリスクが高まり、潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患の既往がある方は長期間の炎症によりがんのリスクが増加します。
高脂肪・低繊維食の食事や赤肉・加工肉の過剰摂取、喫煙、過度の飲酒、運動不足、肥満などはすべて大腸がんの発生リスクと言われています。早期に発見して切除することで、大腸がんの発生を予防することができます。
大腸内の出血や貧血
ポリープが成長して大きくなると、血管が豊富になり、出血しやすくなります。特に、ポリープ表面がもろくなると、便の通過によって出血することがあります。また、ポリープの表面が炎症を起こしたり、潰瘍化すると出血することがあります。これによって血便が生じたり、慢性的な貧血が生じることがあります。
症状の悪化
ポリープが成長して大きくなると、腸の通り道を狭くしたり、刺激したりすることで、腹痛や便秘、下痢などの症状が悪化することがあります。さらに大きくなって大腸の内腔が塞がってしまうと、腸閉塞を引き起こすことがあります。
ポリープの増大や進展
ポリープが成長して大きくなると、悪性化するリスクが高まります。
MEDICAL大腸ポリープや大腸がんの予防
大腸ポリープや大腸がんを予防するために、以下に気を付けて生活しましょう。
健康的な食生活
赤身肉や加工肉の摂取を減らし、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富な野菜や穀物のバランスのとれた食事を摂取することで、大腸ポリープや大腸がんの予防につながります。
運動
適度な運動は、大腸の動きを促進し、便通を改善します。定期的な運動は、大腸の健康につながります。
喫煙と飲酒の制限
喫煙と過剰な飲酒は、大腸がんのリスクを高めるため、禁煙や過剰な飲酒を避けることが重要です。
大腸カメラ検査の受診
50歳以上の人は定期的な大腸カメラ検査を受けることが推奨されます。大腸ポリープを早期に摘出することが大腸がんの予防につながります。
遺伝的要因の認識
血縁のご家族に大腸がんになった方がいる場合は、遺伝的に大腸がんになりやすい可能性があるため、医師と相談して適切な検査や予防策を行いましょう。また、ご自身が子宮体がん・卵巣がんに罹ったことがある場合なども、遺伝性大腸がんの発症リスクの高い、「リンチ症候群」の可能性があるため、定期的な大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。
監修医師 安江 千尋
院長資格
- 専門医
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- 日本内科学会総合内科専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 指導医
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- 日本消化器内視鏡学会指導医
- 日本消化器病学会指導医
所属学会
- 日本内科学会
- 日本消化器病学会
- 日本消化器内視鏡学会
- 日本大腸肛門病学会
- 日本消化管学会