下痢

Medical 下痢

MEDICAL下痢(水下痢)でお悩みの方へ

正常な便は、水分含有量が60~70%で、形状は固形で、通常は円柱形をしています。一方、下痢は水分の含有量が75%以上、特に急性下痢では90%以上に達し、形状も液状または半液状のものを言います。腹部が締め付けられるような痛みを伴うことがあります。
冷えや暴飲暴食など日常的な原因によって起こることも多く、ほとんどの方は下痢を経験されていると思います。水のような下痢が出ても、1回だけであったり、3日以内に症状が治まる場合は、問題はありません。
しかし、水下痢が1週間以上続いたり、頻繁に水下痢が出ることで、生活に支障がある場合や、水下痢と便秘を交互に繰り返す場合、吐き気を伴う場合は、疾患が原因となって水下痢が起こっている可能性があるため、病院を受診しましょう。

慢性的に急な下痢を起こす状態が続いていませんか?

口から摂取する水分と胃腸から分泌される消化液を合わせると、消化管には約10Lの水分があることになります。7~8Lは小腸で吸収されて、残りのほとんども大腸で吸収され、通常の便には100ml程度の水分が含まれています。
下痢は、小腸での水分吸収量の減少や分泌増加、大腸での水分吸収が妨げられることで生じます。
急激に発症して2週間以内に改善する急性下痢と、軟便が4週間続く慢性下痢に大きく分けられます。慢性的に急な下痢が続く場合は、消化器系の疾患や食事の内容、ストレスなどが原因となっている可能性があるため、病院を受診しましょう。
問診では症状の発生頻度や状況、食事やストレスの状態などをお伺いし、必要に応じて便検査や便培養、血液検査、大腸カメラ検査などを行います。これらの検査の結果をもとに、炎症や感染、アレルギー反応など、慢性的な下痢を引き起こしている原因を特定します。
治療方法は、原因によって異なり、感染症が原因の場合は抗生物質や抗菌薬が処方されます。アレルギー反応が原因の場合は、適切なアレルギー対策や食事制限などが行われます。ストレスが原因の場合は、生活習慣や食生活の改善指導を行います。

元気なのに下痢が続く

体調が悪いわけではないのに、下痢が続く場合は、以下のような要因によって引き起こされている可能性があります。

食物アレルギー

特定の食品に対するアレルギーが原因で、下痢が起こることがあります。
食物アレルギーは免疫系が特定の食物中のタンパク質を有害と誤認し、過剰に反応する状態です。よく見られる食物アレルギーは乳製品や小麦(グルテン)、卵、ナッツ類、魚介類、大豆などのアレルギーです。

腸内細菌叢のバランスの乱れ

腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れることで、消化吸収障害や病原菌の増殖、腸壁のバリア機能の低下などにより、下痢が起こることがあります。

ストレスや不安

ストレスや不安などの精神的な負荷によって、胃腸の運動や分泌が乱れ、下痢が起こることがあります。

炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患によって下痢が起こることがあります。
どちらも難病指定されていて、症状のある時期(活動期)と、症状が落ち着いている時期(寛解期)を繰り返します。がんの発生リスクにもなりますので、正確な診断と専門性の高い治療が必要な疾患です。

薬物の副作用

一部の薬物やサプリメントの副作用として、下痢が起こることがあります。
下痢を起こしやすい薬物として、抗生物質(アモキシシリン、クラリスロマイシンなど)や非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェン、アスピリンなど)、マグネシウムを含む制酸薬(マグネシウムハイドロキシドなど)、化学療法薬(シスプラチン、フルオロウラシルなど)、抗不整脈薬(ディゴキシンなど)、糖尿病治療薬(メトホルミンなど)などがあります。

嘔吐と下痢が見られる場合

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎とはウイルスや細菌による感染が原因で起こる胃腸の炎症で、嘔吐や下痢などの症状が起こります。主にノロウイルスやサルモネラ菌、大腸菌の感染によって起こります。
激しい下痢を起こすことが多く、発熱や嘔吐を伴っている場合には脱水を起こしやすいため注意が必要です。水分摂取を十分に行えない場合は、点滴治療が必要になりますので、速やかに医療機関を受診してください。

食中毒

食中毒とは、食品に含まれる細菌やウイルス、寄生虫、毒素を口にすることで、発熱や腹痛、嘔吐、下痢などの症状が起こる疾患のことです。

腸管出血性大腸菌感染症

腸管出血性大腸菌感染症とは、特定の大腸菌の感染症で、嘔吐や下痢、腹痛、血便、発熱が起こる疾患です。
この病原菌は毒素(シガ毒素)を産生し、重篤な下痢を引き起こします。特にO-157型が最も一般的ですが、他にも様々な株が存在します。

胆道炎

胆道炎とは、胆嚢や胆管などに炎症を起こす病気で、胆石の詰まりや感染が原因で起こります。
嘔吐や下痢、黄疸、右上腹部痛などの症状が起こります。胆道炎により胆汁の排出が困難になると、脂肪の分解と吸収が不十分になって下痢の原因となります。

胆のう炎

胆のう炎とは、胆のうに起こる感染症で、胆石によって胆嚢管が詰まり、胆汁の流れが阻害されることが主な原因です。
胆道炎と同様、嘔吐や下痢、右上腹部痛、発熱などの症状が起こります。

MEDICAL水下痢とは

水下痢とは、通常の便よりも水分含有量が非常に多く、ほぼ液体状の便のことです。水分が多く含まれるため、便の量が増え、排便回数が多くなる傾向があります。
水下痢を起こす原因は、感染症や食中毒が考えられ、多くはウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス)や細菌(サルモネラ、病原性大腸菌)、寄生虫(ジアルジア)などの感染によるものです。
水下痢は、脱水症状(口渇、尿量の減少、倦怠感)や腹痛、腹部不快感を伴うことが多く、一時的な場合は放置してもよいですが、長期間続く場合は医師による治療が必要になります。水下痢が起こった場合は、水分と電解質の補給が重要で、経口補水液などで水分を補給するのがお勧めです。
症状や原因菌に応じて、整腸剤で腸内細菌のバランスを整えたり、抗生物質を処方して治療を行うこともあります。

MEDICAL下痢(水下痢)を出し切る方法

下痢を出し切るためには、下痢によって失われる水分を、経口補水液やスポーツドリンクなどで補い、脱水症状を予防することが重要です。また、食事や生活習慣を整えることも重要です。
下痢をしている時は、バナナ、米、リンゴソース、トーストなどのBRAT食(Banana, Rice, Applesauce, Toastの頭文字をとってBRAT食と呼称する)を摂取することが食物繊維が少なく消化に良いため、症状の回復に良いと言われています。

MEDICAL生理中は下痢になりやすい?

生理中は、女性ホルモンのバランスが変動し、特にプロスタグランジンという物質が増加することで、腸の収縮が増加し、下痢が起こることがあります。
また、生理中の水分バランスの変化やストレスの影響によっても腸の運動が活発になり、下痢が促されることも考えられます。生理中の下痢が頻繁に続く場合や、他の症状を伴う場合は、ご相談ください。

監修医師 安江 千尋

安江 千尋

院長資格

専門医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
指導医
  • 日本消化器内視鏡学会指導医

所属学会

  • 日本内科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本大腸肛門病学会
  • 日本消化管学会
院長紹介
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