胃痙攣

Medical 胃痙攣

MEDICAL胃痙攣はブルブルと震え
ない?

胃痙攣とは、胃壁の筋肉が異常に緊張・収縮し、みぞおちの辺りが痛む症状です。胃痙攣は、文字通り胃がぶるぶると痙攣するわけではありません。胃痙攣では、自分の意思とは関係なく胃壁の筋肉が緊張するため、胃が痙攣しているように感じます。
胃の中の内容物が正常に移動しないことで起こることが多く、胃の中での食物の運動が乱れることにより、胃壁の筋肉が過剰に収縮することが原因で発生します。
胃壁の筋肉の緊張が高まると、激しい痛みを起こします。また、胃痙攣は胃痛によって引き起こされることもあります。

MEDICAL胃痙攣の原因

胃痙攣の原因は、筋肉の緊張です。そのため、何が筋肉の緊張をもたらしているかによって治療法が異なります。胃痙攣は主に胃そのものの疾患から起こるもの、胃以外の消化管・消化器の疾患によって起こるもの、心因的な原因によって起こるものに分けることができます。
このうち胃のそのものの疾患によって起こる場合は、慢性胃炎や胃潰瘍・胃アニサキス症、胃がんなどが原因です。また、胃以外の消化管・消化器の疾患で起こる場合は、膵炎や虫垂炎、胆のう炎、胆管炎などが原因となります。心因的な原因によって起こる場合が最も多く、精神的なストレスや過度の緊張によるものが挙げられます。胃はもともとストレスに対して弱い臓器なので、極度のストレスや緊張が長時間続いてしまうと胃に大きな影響が出てしまいます。
慢性的なストレスによって急に胃が痛くなることもありますが、急激にストレスを感じたときに胃痙攣の症状が出てしまうこともあります。
これらの疾患のうち、すぐに受診が必要な重篤なものに、膵炎や胆のう炎、胆管炎などがあります。膵炎では胃痙攣の症状のほかに、背中の痛みや発熱を伴う場合があります。胆のう炎や胆管炎では右側の肋骨下あたりに激しい痛みがでたり、高熱を伴います。
また、緊急性はないものの、最も注意しなければならないのは、胃がんの症状として胃痙攣が起こっている場合です。胃がんは初期にはほとんど自覚症状がなく、何らかの症状が現れた時にはすでに進行してしまっていることが多いため、胃に不調を感じたら早めに消化器内科を受診しましょう。
胃痙攣(筋肉の緊張)の原因は次のように原因ごとに治療法が異なります。

アニサキス症

アニサキス症によって胃痙攣が引き起こされることがあります。アニサキス症が原因の場合には、内視鏡を用いてアニサキスを摘出することで症状がすみやかに改善されます。

胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃炎や胃・十二指腸潰瘍によって胃痙攣が引き起こされることがあります。胃炎や胃・十二指腸潰瘍が原因の場合には、胃酸分泌抑制薬を処方して症状を改善します。ピロリ菌に感染している場合は、ピロリ菌の除菌治療を行います。

胃がん

胃がんによって胃痙攣が引き起こされることがあります。胃がんが原因の場合には、胃がんの進行度に合わせて、内視鏡や腹腔鏡による治療、外科手術、抗がん剤治療などによって治療します。

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアによって胃痙攣が引き起こされることがあります。機能性ディスペプシアが原因の場合には、対症療法に加えて、消化管の機能を整える薬の処方と、ストレスの改善や生活習慣指導を行います。

胆石症

胆石症によって胃痙攣が引き起こされることがあります。胆石症が原因の場合には、胆石を溶けやすくする薬の内服や腹腔鏡による胆嚢摘出を行います。

MEDICAL胃痙攣の症状

胃痙攣は、胃痙攣による直接的な症状と、胃痙攣に付随した症状が生じる場合に「胃痙攣」と診断されます。胃がピクピク動いていると感じる程度では、胃痙攣とは呼ばれません。
症状としては、食べ物や飲み物を摂取した際にみぞおち辺りに激痛が生じ、その他にも腹痛、吐き気や嘔吐、下痢、食欲不振などの症状が引き起こされる場合があります。

胃痙攣の直接的な症状

胃痙攣の直接的な症状として、みぞおち辺りの強い痛みが突然に起こり、数分から1,2時間程度痛みが続くという特徴があります。痛みは飲食をした後に起こりやすいです。
じわじわと胃痛が起こることはあまりなく、急に激しく痛みだすのが特徴です。冷や汗をかき動けなくなってしまうほどの痛みを伴う場合もあるため、非常につらい症状と言われています。

胃痙攣に付随した症状

など

MEDICAL胃痙攣の検査

胃痙攣の検査では、まず問診を行って、食事内容や基礎疾患、服用中の薬、症状の引き金となる要因や症状の変化や頻度などを確認します。これらの情報をもとに血液検査や胃カメラ検査、超音波検査などの必要な検査を行い診断します。

超音波検査

超音波検査では、膵臓や胆のう、胆管などの、消化管以外の臓器の状態をリアルタイムに確認し、異常の有無を確認します。これらの臓器は胃カメラ検査では確認できません。
超音波検査はお腹に医療用のジェル(潤滑剤)を塗って、プローブと呼ばれる超音波を出す機器をあてるだけで検査をすることができ、全く痛みはありません。

胃カメラ

胃カメラ検査は、先端にカメラが付いた細いスコープを、口または鼻から挿入し、のど(咽頭)や食道、胃、十二指腸の粘膜の状態をリアルタイムに観察する検査です。胃カメラ検査中に疑わしい病変が見つかった場合、その場で組織の一部を採取(生検)し、病理検査に提出して詳しく調べることができます。
また、観察のみならず、胃や十二指腸潰瘍などから出血が見られた際にはクリップを使って止血処置を行ったり、アニサキス(寄生虫)などの異物を発見した場合、取り除くことも可能です。当院では即日胃カメラ検査にも対応しておりますが、胃の中に食物があると正確な検査ができませんので、症状のある方は少なくとも食後8時間以上経過してからご来院ください。

MEDICAL胃痙攣の治療

対症療法

対症療法では、胃の筋肉の緊張を和らげるために、ブスコパンやストロカイン、漢方などの薬を使用します。
機能性ディスペプシアが胃痙攣の原因となっている場合は、対症療法だけで改善することもあります。胃痙攣は痛みを改善するために、自己判断で市販の痛み止めを服用すると、症状が悪化する場合があるため、症状がある場合は病院を受診しましょう。

原因に合わせた治療法

アニサキス症

内視鏡を用いて、直接アニサキスを除去します。

胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃酸の分泌を抑制する薬や粘膜を保護する薬などを処方します。

胃がん

早期のがんであれば内視鏡治療で完治が見込めますが、進行がんの場合は手術や抗がん剤治療、放射線治療などを個々の病態に応じて行います。

機能性ディスペプシア

ストレス軽減などの生活習慣の改善や、胃酸の分泌を抑制する薬・胃腸の動きを改善する薬などを用いて治療します。

胆石症

胆石の大きさに応じて胆石を溶けやすくする薬の内服や胆嚢摘出手術を行います。

監修医師 安江 千尋

安江 千尋

院長資格

専門医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
指導医
  • 日本消化器内視鏡学会指導医

所属学会

  • 日本内科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本大腸肛門病学会
  • 日本消化管学会
院長紹介
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