ノロウイルス

Medical ノロウイルス

MEDICALノロウイルスとは

ノロウイルスとは、感染性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種です。人の腸管内のみで増殖し、乾燥に強いうえにアルコール消毒剤にも耐性があるため、消毒の際には次亜塩素酸ナトリウム液を用いる必要があります。主な症状は、急性の吐き気や嘔吐、下痢、腹痛です。
感染者の下痢や嘔吐物、汚染された物体などを感染源として、飲食物や水を介して感染が広がります。
感染力が非常に強いため、100個以下の少量のウイルスでも感染・発症することがあります。一度感染しても耐性ができにくく、何度でも感染してしまいます。ノロウイルスには特効薬やワクチンが存在しないため、対症療法と衛生対策を行います。症状が続く期間は個人によって異なりますが、一般的には1~3日間です。

MEDICALノロウイルスの感染経路

ノロウイルスの感染は、感染者の便や嘔吐物に含まれるウイルスが、飲食物や水などを介して口から体内に入り込むことで感染します。適切な手洗いや衛生対策を行うことが感染予防に有効です。主な感染経路は以下の通りです。

飲食物や水

ノロウイルスに感染した調理者がふれた食品や水を摂取することで感染します。また、カキなどの二枚貝にノロウイルスが付着していることがあり、十分に加熱できていない貝や生ガキを食べた場合、ノロウイルスが体内に入って感染します。

直接接触

感染者と直接接触する、あるいは感染者の便や嘔吐物に直接ふれてしまい、ウイルスが口や顔に触れることで、ウイルスが体内に入り込み感染します。

汚染された物体

感染者の下痢や嘔吐物が付着した物体への接触(ドアノブ、手すり、おもちゃなど)を介して、感染します。

空気感染・飛沫感染

感染者の便や嘔吐物が飛び散ってしまい、ノロウイルスを含んだ水滴が口に入った場合に感染します。また、嘔吐物の処理が不十分であった場合、嘔吐物が乾燥して空気中をただよう塵やホコリになって口に入ってしまうと感染します。

MEDICALノロウイルス潜伏期間は
どれくらい?

ノロウイルスの潜伏期間は、個人差はありますが、一般的には感染後12~48時間程度とされています。潜伏期間とは、ウイルスが体内に入ってから、最初の症状が現れるまでの時間です。短い場合は数時間で発症することもありますし、長い場合は3日以上経ってから発症することもあります。

MEDICALノロウイルスの症状

ノロウイルスの症状は、急性胃腸炎による症状です。主な症状は以下の通りです。

便の異常

など

MEDICALノロウイルスの流行時期

ノロウイルスの流行時期は12月~2月です。ノロウイルスによる食中毒は年間を通して発生していますが、特に冬季に増加する傾向があります。また、ノロウイルスによる食中毒は年間に5,000人以上が報告されていますが、実際は遥かに多くの食中毒が発生していると考えられています。

MEDICALノロウイルスの治療

ノロウイルスの治療は、ノロウイルスに対する特効薬がないため、症状に応じた対症療法が行われます。また、下痢や嘔吐による脱水症状を改善するため、水分補給が重要です。症状が重い場合は点滴治療が必要になります。吐き気や嘔吐などの症状が強く、水分を十分に摂取できない場合は吐き気どめが処方されたり、下痢や腹痛などの症状を緩和するのに腸内環境を整える目的で整腸剤が処方されたり、高熱が出て動けない場合には解熱剤などが処方されます。
強い下痢止めは、便秘を引き起こしたり、ウイルスが体外に排出されるのを妨げ、回復を遅らせるため、処方しません。
ノロウイルスが排出されないと、体内でウイルスが増殖し、症状が長引いたり、重症化したりするリスクがありますので、下痢症状がつらくても市販の下痢止めは使用しないようにしましょう。代わりに、フェロベリンやタンニン酸アルブミンなどの緩やかに効く下痢止めが処方されることがあります。

MEDICALノロウイルスの消毒について

ノロウイルスの消毒を行う際は、適切な消毒液を用いて行うことが重要です。

次亜塩素酸ナトリウム

1,000ppm(0.1%)~5,000ppm(0.5%)の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を作成し、汚染された表面にスプレーまたは塗布後、10分以上放置してから拭くことで消毒します。
ただし、食品や食器などの消毒に用いる場合は、消毒後、流水で洗い流す必要があります。また、次亜塩素酸ナトリウムは有毒な塩素ガスが発生する危険があるため、酸性の洗剤やアンモニアと混合しないでください。

アルコール(エタノール)

70%のアルコールを用いて消毒すると、ノロウイルスを不活性にすることができます。ただし、消毒後は、アルコールが完全に乾くまで待つ必要があります。エタノールは手指の消毒には効果的ですが、環境表面の消毒には次亜塩素酸ナトリウムの方が効果的です。

ヒドロジェンプロキシド(過酸化水素水)

0.5%~3%の過酸化水素水を用いて消毒することも効果的です。過酸化水素水を汚染された表面にスプレーまたは塗布した後、少なくとも10分間接触させてから拭き取ります。これによりウイルスの不活化が確実になります。

クォータニウム化合物(第4級アンモニウム化合物)

クォータニウム化合物を含む消毒剤もノロウイルスに有効ですが、効果は限定的です。単独使用では不十分な場合が多いため、次亜塩素酸ナトリウムや過酸化水素など、ほかの消毒剤と併用することが推奨されます。製品のラベルに応じて適切に使用してください。

監修医師 安江 千尋

安江 千尋

院長資格

専門医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
指導医
  • 日本消化器内視鏡学会指導医

所属学会

  • 日本内科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本大腸肛門病学会
  • 日本消化管学会
院長紹介
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